日本のパッケージ技術

tumblr_nozbv6k4FQ1u7ns0go1_1280

イギリスに住むようになってすぐ、日本のパッケージ技術が並外れて優れていることに気づきました。パッケージは見た目だけではなく、消費者の商品使用体験の重要な部分を占めます。日本の商品の便利さに慣れてしまうと、それが無いのが辛く、イギリスに住んで9年経ってもストレスを感じることがあります。

以下に一部をご紹介します。

1)マヨネーズやケチャップの容器
マヨネーズやケチャップは、太い瓶からスプーンですくってかける、または、細い瓶から勢い良く振り出すものでしたが、最近はプラスチック容器も普及してきました。ところが、このプラスチック容器が固いのと、口部分の空気の通りのデザインが最適ではないのとで、やはり振って内容物を口付近まで落とし、力を入れて容器を押すことになります。

2) 紅茶の箱
イギリスのスーパーで売っているティーバッグは紙の箱に入っています。しかし、日本のお菓子の箱のように開ける際にパリパリ、っと気持ちよく開く物ではなく、開けるというミッションを完遂するために、箱はしばしば無惨にも犠牲になることが多いです。

3)牛乳の蓋
少し前まで、牛乳の蓋はプラスチックのキャップの中に内カバーがあって、初めて使用する際には、小さく横に出たつまみを引っ張って開けるものでした。ところが、このつまみがキャップに絡まるのか、少し引っ張ると千切れてしまうことが少なくありませんでした。千切れてしまった時は、他に掴むところがないのでフォークやナイフでこじ開けることになります。その後、半円状のつまみが上側についたものに変わり、イギリスのパッケージも進化したと感慨深かったのですが、日本でしたら、そもそも内カバーはプラスチックのキャップと一体化するなどして、別にゴミがでない、また一回の操作で済むようにするでしょう。

4)洗濯洗剤の箱
粉の洗濯洗剤はボール紙の箱に入っていることが多いのですが、つなぎ目があるために、洗剤がボロボロとこぼれます。

5)その他各種食品パッケージ
食品パッケージには、開け口が無いものも多くて、キッチンには、はさみが必需品です(破り開けてこぼれたり、破裂したりすることもあります)。もちろん、日本では珍しくない、どこからでも開けられるように加工された包装なども見ません。

日本企業は、消費者の立場で細かいところに気がついた便利な商品を作るのが上手です。開けやすい乾電池の箱や、食品用ラップフィルムをぱりっと切る箱(多くの在英日本人は日本で買ってきます)、酸化しにくいお醤油ボトルなどは、その一例です。そして、企業の資産である、そのようなパッケージ技術の利益を最大化できるような市場が、イギリスを含めた海外に、まだまだ残っていると思います。イギリス人も、このような包装の便利さやエコ効果を知ったら、後戻りはできないでしょう。また、ある企業が商品差別化として一旦始めたら、他企業も追随して、市場が一気に広がる可能性もあります。そしてその先導企業にとって、ブランドに対するインパクトは莫大でしょう。このような商品では、商品メーカーとパッケージメーカーの共同開発も多いようですので、日本企業にとっては国境・企業を超えたコミュニケーションが重要になるでしょうが、日本企業はそれを主導し、競争優位を得ることが出来ると思います。

< リストに戻る