ラグビーワールドカップの成功と日本企業スポンサー

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ラグビーワールドカップ(RWC)がイギリス各地のスタジアムで開催されており、熱狂的な雰囲気が続いています。私は先週の水曜日に、日本対スコットランドの試合をグロスターで観戦しましたが、乗った電車は、日本からこの試合のために来た日本人で溢れていました。RWC委員会が開幕前に委託したEYの経済影響調査によると、6週間のイベント中、今までのRWCで最多となる、 最高46万6,000人が海外から訪れると見込まれています。消費材やサービスを提供する世界的な企業にとって、なんと素晴らしい機会でしょうか。

実は、日本企業は今回のRWCの公式スポンサーの大半を占めており、キャノン、東芝、富士通が4社のうちの3社を占めています。キャノンと富士通にとっては、これが初めてのスポンサーシップとなりますが、東芝は2007年と2011年に続く契約です。富士通は、開幕のたった17日前にスポンサーを発表するという、大変遅いスタートを切りました。キャノンはプロフォトグラファーのサポートサービスを、東芝はパソコンを供給しています。また、キャノンはプロフォトグラファーと練習試合中に行動を共にする機会を、東芝はチケットが当たる機会を、どちらの企業もソーシャルメディアを通じて提供しました。企業接待のために、東芝はストロベリーヒルハウスという、イングランドラグビーの「聖地」トゥイッケナムスタジアムの近くにある、歴史的邸宅を貸し切っています。しかし、より広くファンを魅了するという意味では、日本企業のスポンサー活動は限られているようです。

より経験のあるスポンサーはこの分野で優れており、期間中のブランド認知を最大化しています。もう1社の公式スポンサーであるコカコーラ(1995年からスポンサー)は、ラグビーをスポーツとして推進するビデオを公開し、コカコーラブランドのラグビーボール100万個をプレゼントする商品パッケージプロモーションを実施しています。また、イギリスにおける肥満防止の取り組みである、同社のParkLiveプログラムの一貫として、ラグビーにヒントを得た数百の無料運動セッションを、6都市の公園で実施しています。ワールドワイド・パートナー6社のうち1社であるハイネケン(1995、2003、2007、2011年にもスポンサー)は、48人の幸運なファンに、各試合開始時のコイントスに参加する資格をプレゼントしており、スタイリッシュなテレビコマーシャルで宣伝しています。また、元代表選手で成る「伝説のラグビー選手」がハイネケン・ラグビースタジオにおり、制作されたコンテンツはソーシャルメディアで共有されています。さらに、期間中は数多くのイベントも開催しています。様々なスポーツのスポンサーであるエミレーツ航空(2007、2011年にもスポンサー)もワールドワイド・パートナーです。チームをピッチに率いる旗手を務める10代の若者を選抜、人目を引くテレビコマーシャルも制作しました。同社の特徴的な制服は、スタジアムの様々な場所で目にします。同じくワールドワイド・パートナーであるランドローバーは、トロフィーを同社の車両に乗せてイギリスとアイルランドを周り、公式マスコットとしてチームをピッチに率いる若手ラグビー選手を選抜しました。また、ローカルコミュニティの小さなラグビークラブをサポートするため、世界の元代表選手を送り込み、コーチをしてもらいました。これらの活動は、同社ウェブサイトのRWC専用ページで、ビデオと共に紹介されています。これらの企業スポンサーの様々な活動が、イベント盛り上がりの重要な部分を担っていることは間違いありません。

日曜日には、ウェンブリースタジアムでアイルランド対ルーマニア戦を観戦しましたが、そこでは、RWC記録となる8万9,267人の動員でした。しかし、楽しみはチケットを入手できた幸運なファンに限られたものではありません。今回初めて、2,000〜1万人が収容でき、大型スクリーンと屋台やバーを備えた、15カ所の公式ファンゾーンがイギリス各地のスタジアムの近くに設置されました。入場は無料で、熱狂を持続させるために、試合日以外にもイベントが催されています。企業スポンサーにとっては、追加の露出です。

イギリスの優れた、そして世界クラスのイベント主催は尊敬に値します。これは、2012年のオリンピックと今回のRWCで証明されました(グロスターで、2両電車が1時間に1本しか無いのは問題でしたが)。EYの報告書によると、今回のRWCにより、イギリスのGDPに約10億ポンド(約1820億円)が追加される見込みです。そして、この数字はただ主催すれば得られるのではなく、優れている場合にのみ達成されます。今回のRWCは、今のところ良い実績を示しているようです。日本は、2019年のRWCと2020年のオリンピックという、重要な2つのイベントを控えており、すでに前途多難なスタートを切りました。しかし、成功した前任者から学ぶことは常に重要です。

土曜日には、日本が準々決勝に初めて進むために絶対に勝たなければならない、サモア戦があります。私は恐らくファンゾーンのスクリーンの前で観戦します。

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