コンプライアンス中心で問題が起こる

Planter

弊社のお客様は、日本の大企業や政府系組織などですが、イギリスでは小規模オフィスであることが多く、組織のトップは日本人駐在員で、人事は初めての方がほとんどです。そして、雇用法遵守を徹底する「コンプライアンス」を強調されることがよくあります。

もちろん法律を守ることは重要です。しかし、逆説的ですが、コンプライアンスに重点を置くとイギリスでは問題が起こることが多いのです。通常、社員はこのような会社を歓迎しません。社員は、会社が人事のポジティブな側面(会社への貢献)ではなく、ネガティブな側面(懲戒手続きや苦情申し立て)に注力していると感じるかもしれません。また、コンプライアンスのみに重点を置いている会社は、法律義務ではない業績評価を十分に実施していないことが多いですから、社員は正当に評価されていないと感じるかもしれません。コンプライアンスで社員はハッピーになれないということなのです。

ハッピーでない社員は仕事に集中できません。不満で、会社の嫌なことばかりが目につきだします。ただ、新しい仕事をすぐに見つけるのは大変なので、不満を抑え込んだりします。そして、毎日最低限の仕事だけして帰ります。上司もそんな部下に不満です。部下とコミュニケーションをとれなくなり、業務にも支障が出てきて、どうにかしてこの部下を辞めさせたいと、方法を探ります。能力の高い人材は他に仕事を見つけて転職し、そうでない社員は会社に残るかもしれません。そして、会社として辞めさせたい社員が定期的に出てきます・・・このようなシナリオが非常に多いのです。

つまり、イギリスで人事問題を避けたいのであれば、法律以上の人事が必須であるということです。これは必ずしも高価でも複雑なことでもなく、職場の人間関係を改善する多くのポジティブな方法があります。そのなかでも、業績管理の重要性は強調しきれません(8月のセミナーで様々な方法をご紹介します)。

現状、日々の仕事に追われて、人事に時間が取れていないというマネジャーは、どうすればより能力を発揮できる職場環境をつくれるか考える時間を、重要な仕事として、週に1時間でも確保することをお勧めします。

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